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津地方裁判所 昭和50年(わ)14号 判決

本籍

津市白塚町四九八五番地

住居

右同所

養魚飼料卸売業

濱崎清

昭和三年一月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官上田廣一出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、津市白塚町四九八五番地において、<セの屋号で養魚飼料の卸売業を経営しているものであるが、不正にその所得税を免れようと企て

第一  昭和四七年一月一日から同年一二月三一日までの総所得金額は二九、五九四、一七六円であり、これに対する所得税額は一三、六〇一、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上収入の一部を除外するとともに架空仕入れを計上するなどの不正行為によつてその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四八年三月一五日、津市桜橋一丁目九九番地所在津税務署において、同税務署長に対し、昭和四七年度における被告人の総所得金額が三、四五四、一二〇円でこれに対する所得税額が三二二、六〇〇円である旨虚偽の記載をした所得税申告書を提出し、その差額である一三、二七九、二〇〇円の所得税を免れ

第二  昭和四八年一月一日から同年一二月三一日までの総所得金額は二五、五七一、八八五円であり、これに対する所得税額は一一、二二八、二〇〇円であるのにかかわらず、第一記載と同様の不正行為によつてその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年三月一五日前記津税務署において、同税務署長に対し、昭和四八年度における被告人の総所得金額が五、三六九、八一九円でこれに対する所得税額が八二九、九〇〇円である旨虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、その差額である一〇、三九八、三〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(二通)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(六通)

一  被告人作成の上申書(二通)

一  水谷洋征の検察官に対する供述調書

一  松下確治、浜崎徳治(二通)、川口啓、大塚順一、野田則正、田中忠明、西脇清、西脇正彦、駒田新兵衛、水谷洋征、館已代市の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  水谷洋征、伊藤利夫、畑守栄吉作成の各証明書

一  和田義光(三通)、坂倉祐三郎、広田輝夫、服部喜一、川上武勇、中井毅、中村次郎、浜口忠三作成の各上申書

一  梅田弘明、八鳥敏治、堤健二、矢仲礼子作成の各回答書

一  中村禧徳、伊藤利夫作成の各当座預金元帳等写

一  水谷洋征、箕浦元視、岩尾研吾、伊藤利夫(二通)作成の各普通預金元帳等写

一  中村禧徳(三通)、田村栄生、川上武勇、南川暁、益川種臣、石川清元、林達也、北川信二、出口良也作成の各定期預金記入帳、印鑑票等写

一  検察事務官作成の電話聴取書(二通)

一  検察官作成の電話聴取書

一  大蔵事務官作成の調査報告書(八通)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(二通)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算説明資料

一  大蔵事務官作成の告発書

一  押収してある所得税確定申告書二綴(昭和五一年押第一一号の一、二)、青色申告決算書二綴(同号の三、四)、預金メモ二綴(同号の五、六)、白塚町土地売却領収書一綴(同号の七)、領収書等一綴(同号の八)、小川町土地売買契約書一綴(同号の九)、総勘定元帳二冊(同号の一〇、一三)、領収・請求書綴一綴(同号の一一)、送状及納品書綴一綴(同号の一二)、領収証一冊(同号の一四)、購買品仕入元帳等一綴(同号の一五)、振替伝票等一綴(同号の一六)、領収証二綴(同号の一七、一八)、印鑑二九個(同号の一九乃至二一)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法第二三八条第一項に該当するので、それぞれ所定刑の懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期および罰金額の範囲内で被告人を懲役六月および罰金四〇〇万円に処し、同法第一八条により被告人において右罰金を完納することができないときは金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて王文のとおり判決する。

(裁判官 桜林三郎)

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